ハルに悪いとジェスチャーで謝ると、ニヤニヤとした顔でポンポンと肩を叩かれる。
『あ、えと、言いました。……あの、急にごめんね、大丈夫? 今、電話してても平気かな?』
「大丈夫。こっち昼休み中だし……って藤宮も?」
「藤宮」という言葉に周りが反応し視線が集った。俺はその視線を受けて立ち、教室よりも人口密度の低い廊下へと逃れる。
 少しの沈黙があって、俺は思い切って話しかけてみた。
「さすがに二週間近く経ってたから連絡もらえないと思ってた」
 別に責めてるわけじゃなくて、本当にそう思っていたから。すると、
『ごめんね……。実は紅葉祭の翌日からインフルエンザになってしまって……』
「え、大丈夫なの!? もしかして、学校で倒れたときから具合悪かった!?」
『あ、違うの。あれは関係なくて……。でも、びっくりさせちゃったよね。ごめんね』
 御園生が申し訳なさそうな顔で謝っているのが簡単に想像できた。