電話を切って、深いため息を吐いた。

パソコンに向かう気も失せて、そのままソファに横になる。


正直、研究に逃げていれば楽だった。

誰かと共に生きるよりも、毎日研究室に入り浸って時間を忘れるほど没頭することの方が…

そしていつか、その研究が何かの役に立つ日が来ると…



『いつまでそのチームで研究してるつもり?』


アメリカに発つ前に彩美に言われた事を思い出す。


グッと拳を握り締めた。

今はただ…


ただ…



「どうしちゃったんだ…俺は」



何も考えたくないはずなのに。


この込み上げる感情を、僕は知っている。


記憶がそうさせていると分かっていても、脳科学に結びつく理由を辿っていたとしても…



抗えないこの、感情。



人間は、愛情を欲する生き物なのだ。


他の動物と違い、感情深い生き物なのだ。



独りを好んでいたとしても、本能が求めてしまう…




「…会いたいなんて」




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