お兄さんは、やさしそうにほほ笑んで、

パシャパシャとコイチゴランドを写真に撮った。



「二人とも、

そこにしゃがんでこっちむいてくれるかな?」



樹美とあやめも、コイチゴランドの前で、

ポーズした。



「ほら」



デジカメの再生画面で、撮ったばかりの写真を見せてくれた。

コイチゴランド全体と砂だらけの笑顔の二人が、きれいに写っている。



「これ、プリントしてあげようか?」


「写真をくれるの?」


あやめは、すぐに聞き返した。



「お兄さんのマンションそこなんだ。

パソコンに取り込んで、プリントしてあげるから、

おいでよ」

「うん!」


あやめは、即答したあと、

お母さんにいつも言われている事を思い出した。



「知らない人に声をかけられても、

一人でついて行っちゃダメよ」


でも、樹美ちゃんと二人だし…


「樹美ちゃんも行くよね?」


確かめるように、樹美にたずねた。


「うん」


樹美が大きくうなずくのを見て、

あやめは、ホッとした。



あの写真絶対ほしいもの…



二人は、お兄さんの後について行った。