桜が花をすっかり落として、代わりに眩しいぐらいの黄緑の葉をいっぱいに纏う頃……

だんだんこの学校での生活にも慣れ始めていた。


窓から差し込むやわらかな日差しは暖かくて、なぜかほんのちょっとウキウキした気分を誘ってくれる。



その日は同じクラスの仲良し4人組で窓際の席に集まって、お弁当を食べていた。


ふいに、窓から中庭を見下ろす。

北校舎の2階にあるこの教室からは中庭の様子が良く見える。

さらにわたしが今座っている席は、例のアンティークベンチを眺められるベストポジションだった。


ベンチの周りには、数人の男子生徒がいて、わたしは何気なく彼らの様子を眺めていた。


あ……!

思わず声が出そうになった。

男の子達の中央。

ベンチに腰掛けているのは


――彼だ。