「ありちゃーん! 体育館行こ!」
苗字が高畑だから、教室のほぼ真ん中の席に座るありちゃんの元へ飛んでいく。
ありちゃんは「うん」とうなづきながら、イスから立ち上がった。
「どんな感じー? ひとり暮らしは」
「うーん、まあまあかなあ。 お母さんのありがたみがわかるよね」
お母さんが毎日掃除洗濯、ごはんやお弁当を作ってくれて、いい生活を送ってたよなあ、わたし……。
しみじみとそう思う。
今日は午前で学校が終わるからいいけど、明日からはお弁当もいる。
「お弁当が変でも笑わないでね……」
なんて言いながら、ちょっと肩を落としたとき。