「まったく、世話の焼ける人ですね」


俊介は無邪気に笑顔を見せて、冷却シートをおでこに貼ってくれる。


熱のせいか、ドキドキのせいかもう分からないくらい頭がぽーっとしてきて。


それに比例するように、愛しさが込み上げる。



力が入らない指先で、そっと俊介の服を掴んだ。


「どうしました?」



冷却シートの冷たさなんて、何にも感じないほどに。


私は今、彼に夢中だ。


「…嘘つき」


「嘘つき?僕がですか?」


「全然潔癖症なんかじゃないじゃんか…」


ぎゅっと強く握る。

どうしようもなく、好きだと思う。


「瀬戸さんがこんな時に、菌がどうのなんて思う程潔癖ではありませんから」


「なーんだ…」


「立てますか?」



俊介に支えられながら、立ち上がるけれど。
クラクラして、よろけてしまった。


「車までおぶっていきますから、どうぞ」


「ありがと…」


こんな時に不謹慎だけれど、熱が出て良かったなって思ってしまった。

俊介の温かい背中に頬をつけて、そっと瞳を閉じる。


「重い?」


「重いか軽いかといったら重いですが、大丈夫です…。4じゅう…」


私は俊介の頭をグーで叩いた。


「もう!体重を言うなんて、デリカシーがなさすぎ」


「はは、冗談ですよ」


なんでこんなに好きなんだろう…


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