『お前がそれを運命って思ってんなら、その先の運命を切り開くのもお前自身だぞ』


運命。

切り開く。

それは自分でしか出来ない。


そして俺は、一度だけ藤沢の顔を見た。

そして視線を外した。


兄貴……ごめん。



「俺は……藤沢が……好きだ」





今俺、藤沢に好きって言った?

言ったよな?

頭の中が真っ白だ。

何も考えられない。

やばい。藤沢の顔が見れない。


少しの沈黙の後、藤沢が声を出した。


「え……あの……夕斗君、い、今なんて」


それ、聞き返すかな?……泣きたいよ。

けど、もう言ってしまった。



「俺が好きなのは、藤沢」


「あ、あの…私」


「ごめん。本当は、ずっと言わないつもりだった。藤沢、今見たいに困るって思って。けどこんな形だけど……なんか言いたくなった。困らせるような事言ってごめん」


「…………」


藤沢は明らかに動揺していた。


「返事はいいよ……俺、藤沢の気持ちわかってるから」


「……夕斗君」


「早く学校行こうぜ、遅刻する」


俺はそれだけ言って、玄関へ足を運んだ。

気まずさだけが、この家に残る。

話を切り出した美佳でさえ、俺が言えないとでも思っていたのか、俺が藤沢を好きだって認めてから、それ上は何も言わなかった。