「見て? 猫の餌付けに成功したんだって」
 ディスプレイには人の手と煮干、トラ猫が写っていた。たったそれだけの写真を翠は嬉しそうに眺めて話す。
「なんの用があって?」
「え? 用……?」
 その表情から察する。これといった用もなくメールのやり取りをしているのだと。
「用があるからメールのやり取りしてるんじゃないの?」
 わかっていながら訊くのはなぜか――。……決まっている。単なる嫉妬だ。
「用はない、かな? いつもお互いの近況報告みたいな感じだし……」
「……それ、楽しい?」
「うん。鎌田くん、写真を添付してくれたりするから」
 翠があまりにも屈託なく笑うものだから、俺は素っ気ない態度で翠を置き去りにした。