「百華ちゃんね? お母さんから聞いてるわよ。 大家の浅岡(あさおか)です」
にっこりと柔らかな笑顔でそう言った浅岡さん。
大家さん……で、お母さんのお友達!
「はじめまして、茅ヶ崎百華です。 よろしくお願いします」
頭を下げて名前を言ったあと、大家さん用のお菓子を手渡した。
なにが入ってるんだろう……と気になってしまうくらい豪華な箱だ。
「わざわざご丁寧にありがとうね。 奏子(かなこ)さんったら、気を遣わなくていいのに」
「ほんとは大家さんのお宅に伺おうと思ってたんですが……こちらこそわざわざきていただいてすみません」