「あっ!そうだ!中原てスマホ?」

「うん!」

「LINE交換しねぇ?ほら、クラスのグループとかにも招待したいからさ!」

一生懸命口実をつくり、連絡先を聞く。

「うんっ!いいよ!」

俺はスマホをだす。

中庭は先生がこないから、携帯をいじってもばれない。

「はい、QRコード!」

中原さんも急いでスマホを取り出す。

かわいい淡いピンクのカバーをつけたスマホを、細い指で操作する。

QRコードをうつそうとしているのか、からだをよせてきて、甘い香りがふんわり香る。

「できた!栗原くん、ありがとー!」

「おう!」

名字呼びにもどってしまい少し寂しいが、中原さんの連絡先をゲットできた嬉しさに胸が高鳴る。

最終下校も近づいてきていたので、そこで今日はお別れした。

俺には、一緒に帰ろうなんて言う勇気はなかった。