ケータイ小説 野いちご

光のもとでⅡ

『明日はツカサの誕生日だもの。真白さん、絶対にごちそうを用意して待ってると思う。だから、明日は藤山に帰らなくちゃだめ』
 翠らしい気遣いに心が和む。俺は目を閉じて翠の表情を思い浮かべた。
「家で夕飯食べてからマンションに行くってこともできるんだけど」
『……あ、そっか』
「明日、八時にはゲストルームに行くから」
『うん、待ってるね』
「じゃ、おやすみ」
『おやすみなさい……』
 若干名残惜しさを残したまま通話を終えた。
 目を開けば今まで読んでいた本が映る。
 もう少しきりのいいところまで読むつもりでいた。けど、今日はここまでにしよう。
 栞に手を伸ばし本に挟むと、分厚い洋書を静かに閉じた。

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