転校は小さい頃から何回もしたけれど、今回はさすがに驚いた。
「お父さん……。 も、もう1回言ってもらってもいい?」
イスに座り直して、テーブルに置いてあるお茶を一口だけ飲む。
すると、お父さんは困った顔をしながら再び口を開いた。
「だからな百華、アメリカに転勤が決まったんだ」
「あ、アメリカ……? ほんとに言ってるの? ドッキリ?」
わたしは、小学校、中学校共に、入学から卒業まで同じ所に通ったことがない。
数年に一度のペースで、お父さんは転勤があって、お母さんとわたしはずっとついてきていたから。
でも……。