「………べつに、なんもないねん。


気にせんといて」






俯いて呟いたあたしの顔を、たっちゃんがまじまじと覗きこんでくる。







「………なんやねん」






「いや………さっきのんて………高校んときのミサキやろ?」.






「う………ま、まぁな」






「可愛らし顔して笑うとったやん。


あんな頃もあったんやなぁ」.






「余計なお世話やわ」






「……………」







それきり、たっちゃんは黙り込んでしまった。




いつもにこにこして何かしら喋りかけてくるたっちゃんが押し黙っていると、なんだかこっちは居心地が悪い。





あたしは黙ったままレジへ行って会計をすませ、店を出たところでたっちゃんと別れて、バイト先へ戻った。