「相変わらず、変わらないな。雪那は」

風に混ざって、懐かしい声が聞こえる。私は辺りを見渡し声の主を探す

すると、目の前に1人の男子生徒の姿をとらえた


切れ長の目に、すっと通った鼻。色素の薄い肌に襟足の長い髪にスラッとした体躯ー

「…七海さん?」

私の声に、にっと口許をあげた彼はー成長した七海さんだった

「久しぶり。合格できたよ。雪那と同じ高校」

私の頬に涙が伝った。悲しいのではない、これはきっとー

「…本当に、久しぶり」

嬉しくて、泣いてるのだ。

七海さんが私の近くに歩みより、私の涙を拭く。

「この学校に入る条件、雪那と同じ学科に入ることだったんだ。お前の入ってる学科、難しすぎるだろ。必死こいて勉強してやっと入れたんだぞ」

私は何度も頷いた。これは夢なのだろうか。

そう思ったが七海さんが触れてる場所から伝わる温もりは本物だったー