ー数時間後

「もう大丈夫か?」

「は、はい…」

私たちは今、駅のホームにいた。七海さんは電車できたようで、長居はできないようだった。

少しだけ、私は寂しくなりながらも微笑んでいた。

「…雪那」

「え…ひゃっ…!!」

七海さんが私の手を引き、抱き締めた。顔が熱くなり心臓がどくどくと鳴り響く。
男の人特有の、固く節が目立つ指が私の髪を撫でる。

「…雪那、俺さ…お前のこと」

瞬間、電車が駅のホームに到着する。甲高いブレーキ音に七海さんの声が掻き消される

「え…?」

「なんでもねぇや。じゃぁな」

七海さんが微笑み、電車に乗り込んだ