バイトは10時からだから、まだ家を出るまでには時間がある。




あたしはソファの上であぐらをかいて、お母さんと並んで朝の情報番組を見ることにした。





しばらくすると、とんとん、と階段を降りてくる足音が聞こえてきた。





弟のユタカだ。




お母さんが立ち上がってキッチンに向かいながら、ユタカに声をかける。






「ユタカ、おはよーさん」





「はよー。あー、ねむ」






ユタカが寝巻きのTシャツのすそから手を差し入れて、胸のあたりをぼりぼりと掻きながら答えた。






朝から品の無いやっちゃ。






ユタカはあたしの左隣にある一人がけのソファにどすっと腰を下ろした。






「ユタカ、あんたなぁ。


学校ないからゆうて、ゆっくりしすぎやで。

もうちょい早よ起きぃや。


お母さん、何回も朝ごはんの準備するん、面倒やろ?」







あたしが老婆心でそう注意すると、ユタカが嫌そうな顔をする。