もとの座敷に戻ると、総司が布団に入ってふて寝していた。


総司に付き添っていたお小夜が、隣で寝ている。


「ぷっ。可愛い……」


まるで親子みたい。


そう思うと、不意に胸が熱くなった。


総司は、誰よりも愛しいひと。


あたしを本気で妻にしたいと、そう言ってくれた。


彼のためなら、もう一度命を投げ出したってかまわない。


「明里さんは、そうじゃないの……?」


もし本気で惚れているなら、あんなムリな条件を出したりできないんじゃないのかな?


だけど、あんなに強く脱退を進めるなんて、商売だけを考えて……とも思いにくい。


彼女は、いったい何をたくらんでいるの?


どんなに悩んでも、答えは出なかった。


ただ不吉な予感だけが、頭のなかをぐるぐるとハエのように飛び回っていた。