「……しっかり癒されてる……」


彼女はいい聞き役みたい。


これなら心配ないかな。

色っぽい展開になる前に、退散しても大丈夫かな……。


しかし、そっと天井板から耳を離そうとした瞬間、明里さんの声の調子が変わった。


「山南先生。この前言ったこと、考えてくれはった?」


この前言ったこと?


「ああ……あのことか」


慌てて穴からのぞくと、山南先生が動かなくなった右腕をさすっていた。


「その腕、治すんやったら早い方がよろしおすえ。

この前お話した薬も、簡単には手に入らんもんやし。

機会を逃すと、次はいつになるか……」


腕を治す?薬を使って?


「わかっているよ。でも、キミの出した条件が……」


条件……明里さんは山南先生の腕を治す手段を知っている。


それと引き換えに条件を出したっていうこと?


「……簡単やおへんか。新撰組を脱けたらええだけやし」


……なんだって?


新撰組を……脱ける!?