「おもしれーやつが入ってきたなあ、新八よ」


「おう、左之。お前も美丈夫だから背後に気をつけろよ?」


原田先生と永倉先生が笑いながら、道場の方へと歩いていく。


もう、バカなこと言って……。


隊士たちも、それぞれの持ち場にぱらぱらと散っていった。


「おい」

「総司。今からは巡察?」


総司が体をさすりながら近づいてきた。


「おう……俺がいない間、気をつけろよ。

あいつ、ただ者じゃねえ」


「大丈夫だよ……あたし、女だし」


「それでも男装の間は気をつけろ!簡単に触らせるんじゃねえ!」


そういえば、いくら油断していたと言っても、簡単に抱きつかれて捕獲されちゃったもんね。


ああ見えても剣は強いって言うし、あたしが副長の間者だってばれたら大変だ。

気をつけなくちゃ。


こくりとうなずくと、総司はきょろきょろとあたりを見回し、誰も見ていないのを確認すると、あたしをぎゅっと抱きしめた。


「お前は俺のもんなんだから」


耳元で囁かれ、また頬が熱くなった。


こうして……伊東一派は嵐のように新撰組に入隊してきたのであった。