私は身体を前へ乗り出した。




「....ふざけんなっ......ふざけんなよっ...!」




その声と同時に私の身体は後ろへと倒れた。




「....ヒロ...?」




そこには頭部と左足に包帯をぐるぐる巻きにした

ヒロの姿があった。




「...お前なぁ....せっかく俺がお前を助けたのに...」



そう言って溜め息するヒロ。



私はヒロに向かい合うように向き直った。



「.....本物の.....ヒロ?」



そう言ってヒロの頬に触れると、
ヒロはその私の手をとって力強く握ってきた。



「......生きてるだろ…?」



そう言って優しく笑った。



「......死んじゃったかと思った...」



「....勝手に殺すな…」



「.......だって看護師さんとかが焦ってたから…」



あぁ と言ってヒロは苦笑いする。



「....それは俺が勝手に起きて...ジュース買いに行ったからじゃない......?」



「....バカ....」



私は安心してまた涙がでた。



それを指で拭ってくれたヒロ。



「......ヒロの部屋でたあとね....親と偶然会ったの....。そしたらね.....あの日....クリスマスイブの日、夕方頃に圭ちゃんが.....親のところに挨拶にきたんだって......」



「......そっか....」



「.......う...ん。」



「....なぁ...もし...俺がこのまま死んでたら...
お前、どうしてた?」



そう言って下を向くヒロ。



「.........わかんなぃ。」



私が小さくそう言うと、ヒロはそっか。とだけ言った。




「.........ねぇ、ヒロ。」



私はヒロを見ず、言った。



「..........ん?」



「...前にさ...ヒロ言ったじゃん?
『お前は死にたいのか?』....って」



「.........ぁぁ。」



「......別にね、死にたいわけじゃないの...ただ、生きることが苦しいの。.....死ぬ勇気なんてないし....でも、生きていく勇気もない.....。
私には、生きる意味も、生きる自信もないんだよ...」




そう言った私を、ヒロは強く強く抱き締めた。



「.....だったら....」




「..........え?」




「......俺がお前を...ルイを護ってやる。
だから...生きろ。俺のために生きろよっ....」




「......っ....」





私は涙が溢れて、ただただ頷くことしかできなかった。