「ほな、俺は戻るから。


お前たちはカラオケ行って仲直りしぃや」






「「はぁい」」






くっ、声が揃ってしもた。




こないちゃらんぽらん花畑男とハモってまうとは、一生の不覚。






「ほなな」と手を振りながら去って行く途中。



ヤマモトさんがちらりと振り返り、あたしの目をじっと見た。






「………がんばりや、ミサキ」






…………おっとー??



ヤマモトさぁん??





このタイミングで、そんなことおっしゃいますかー??




あたしは「はぁ……」とあいまいに誤魔化し笑いを浮かべるしかない。






ヤマモトさんの姿がパチンコ屋の喧騒の中に消えていくと、たっちゃんが不思議そうな顔で訊いてきた。







「がんばりやって言ってはったな。


どーゆーこっちゃねん」







あたしはいかにも興味なさそうに、「さぁなぁ」と返す。






「あの人もなぁ、たいがい変わったはるからなぁ。


気にせんとき。


はよカラオケ行こや」






「せやな」








あたしはたっちゃんの腕を引いて、カラオケ屋のドアを押し開けた。