ケータイ小説 野いちご

カクテルに恋の魔法を。


 あからさまに律の目線が、私の顔から下に降りる。私はそれを確認するように、自分の身に目線を落とした。ら、血の気が引いた。

 「―――――っな!?」

 う、ううう、うそでしょ!?

 私は声も出ず、慌てて掛け布団を自分に寄せて、身体を隠す。

 ちょっと待ってよ。なによこれ、なによこれ、なによこれ!!

 ずいぶんと涼しい恰好をしている私は、信じられない。

 どうして私は、下着姿なの!?

 青ざめる私は、一体どうしたらこんなことになるのかと、考えて、慌てる。

 まさか一晩の過ちというような、そんなバカげたことを私が?

 いや、そんなまさか。律が私なんかに、手を出すはずがないわよ!

 ってか、下着つけてるってことは、間違いはなかったってことよね?

 私はグルグルと考えて、最後の答えに納得すると、パァッと表情が明るくなった。

 そうよ。あるはずない。ちゃんと布を、身に着けているわけなんだから!

 バッと顔を上げて、私は律を見ると、律は何故か不機嫌そうな顔で私を見ていた。

 な、なによ。その顔……。

 「律?」

 「歌子さんのご想像通り、何かあったようで、何もなかったですよ。ご安心を」

 律は表情どころか、声まで不機嫌で、私は首を傾げた。

 でも、それよりも、事実確認が出来たことの方が嬉しくて、私はホッとして笑う。

 「あからさまにホッとした顔をしますね。言っておきますが、僕としては何かがあっても、良かったんですよ」

 はぃ?

 私は律の言葉に、耳を疑う。

 でも直ぐに、あぁ、そうか。と、思う。

 そういえば律は、こんなことを平気で言うような人間だったと、私は昨日の記憶をさかのぼり、また始まったとばかりに、軽く流した。

 ほんっと、困った子なんだから。

 「よかないわよ。何をサラリと言ってるんだか」

 ほんっと、冗談ばっかり。と、私は呆れたように笑う。

 でも、自分が下着姿なことが気まずくて、少し目線は下げ気味になった。

 掛け布団だけじゃ、心もとない。ソワソワする。

 なんだろう。どうして私、こんな恰好なの??

 私は、自慢にもならないけど、朝起きて下着姿だったことなんて、これまでの人生で一度もなかった。

 なのに、どうして??

 でも、調子に乗って昨日は飲みすぎたし、知らない自分がいた可能性も無きにしも非ず。

 もしかして私は、極限まで酔うと脱ぎ癖があるのかもしれない。

 ぬ、脱ぎ癖? 

 ―――っい、いやだ、そんなのはしたない。

 ってことは?

 私は、自分の想像で、嫌な汗をかいてしまった。

 うっわぁ~。最悪……。

 私ってば、昨日は、とんでもなく律に迷惑をかけたかもしれないってことだわ。

 そういうことよね??

 いくら反省しても反省しきれない。

 律はきっと、大きく重い私を運ぶのも、一苦労だったはず。

 私は、暴れたりはしなかっただろうかと、心配になった。

 あぁ、もう。

 溝内さんを飲みに誘うときは、絶対に注意しなきゃ……。

 ってか、ちゃんと事実確認をしなきゃよね。それで、ちゃんと律に謝らなきゃ。

 「と、ところで、律……」

 「はい」

 「わ、私。どうしてこんな恰好なの? えっと、その……私、脱ぎ癖とか? あったりする?? 昨日は私、律にすごく迷惑をかけたんじゃないかと、その、思ったんだけど……」

 私の問いかけに、律は呆れたような顔で私を見ると、続けた。

 「僕を疑わないなんて……」

 「え?」

 「ずいぶんと、僕を信用しているんですね」

 なにそれ。

 キョトンとする私を見て、律は溜息まじりに続けた。

 「いいえ、別に。まぁ、その質問に答えるのなら、犯人は僕です。洋服がシワになっちゃうと思ったので、僕が脱がせました」

 「――――はぃ?」

 想像もしていなかった回答に、私は間抜けな顔をして、ポカンとする。

 い、意味不明なんですけど。

 なによ。その問題ありな、親切は……。


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