「そう。
響きも素敵でしょ?」


「そうですね。
ねェ、ダリア。
ドコの国の言葉なンです?」


ソージがもう一度その名を口にすると、彼女は…
ダリアは目を見開いてから、再び世にも愛らしい笑顔を見せた。

自分が呼ばれたのだと気づいたようだ。

うふふ、なんて可愛らしい声を漏らして、無邪気にのたまう。


「わかんない。」


また雑…


「色んなトコロに行って色んな言葉を喋るから、元がドコだったかなんて、わかんなくなっちゃったの。」


あら?
今回は、『性格が雑』ってだけの話じゃないンだ?

わからなくなるほどの言語を使いこなせるくらい、各国を旅しているのだろうか。

こんなに若いのに…


「どれくらいの言葉をご存じなンです?」


「さぁ?
でも、サンスクリット語も話せるわよ。」


「サン… なんです?」


「滅びゆく言語よ。」


(…
日本人、ヨクワカンナイヨ…)


ガクリと項垂れたソージは、日本人らしくないドレッドヘアを左右に振った。