校舎裏の花壇の隣にまで来ると、「座るです」と命令されて無理矢理座らされた。

煉瓦に腰掛けると、女も隣に来た。


そして、


俺の手をぎゅう、と抱き締める。



「やっと会えましたっ」



いとおしい、と言うように頬擦りして。




「お兄ちゃんっ」




名前を呼ばれて、記憶が一致した。



「め、メイ?」



「はいっ」


嬉しくて堪らない、というような彼女は、俺の昔の妹だ。


国崎メイ


金持ちに買われた、遠い昔の妹。



「な、なんでっ…」


「お兄ちゃんに会いたかったんです」


相変わらずツインテールで、でも体の凹凸はしっかりしていた。


「逃げてきちゃいました」


「いいの?そんなことして…」


「いいんですよ、会いたかったんですから」