「でも、心配してくれなくていいよ。」


「えっ!?」


「私は十分幸せだから。 
彼があんな風に若い子に話しかけるのも、
私との関係がばれないようにと彼なりのカモフラージュなの。」


京子さん、あなた本気でそんなこと思ってるんですか?
あいつはただの女ったらしですよ?


「京子さん!」


「わかってる! あの人には奥さんがいる。
こんなことしてたらダメだってわかってる。 でも・・・
でも、私には彼が必要なの。」


京子さん・・・


「でも・・・」


「お願い! もう放っておいて・・・」


そう言った京子さんの瞳はとても弱々しく、
それを取り上げたら今にも、ボロボロに潰れてしまいそうだった。


京子さん・・・


俺はそれ以上何も言えずに、その弱々しい京子さんの瞳から目を逸らした。


「ありがとね、中越くん。」


そんな明るい笑顔で、でも悲しそうな笑顔で、
あなたはこれからもあいつと過ごして行くんですか? 
あんな奴に抱かれながら笑うんですか?


京子さん、あなたは本当にそれでいいんですか・・・?


俺は心の底から嫌な感情が溢れだしていた。