◇◇◇


朝。


穏やかな光に包まれながら、携帯のアラームを止める。



「千晶、朝だよ」



俺の腕にしがみついて、離れない彼女。


幼い寝顔につい頭を撫でたくなったけど、しがみつかれてるので無理。


腕を軽く振ると、難なく起きた。


「…えぇ…もぉ朝…」


くぁ、とあくびをして。

お花柄のパジャマの裾で、目元を擦った。


「今日は遅刻記念日にしよーよ」


「ダメだよ千晶。

てか、朝何食べたい?」



えー、と不貞腐れる千晶の顔がが、朝食の話題で一気に輝く。


可愛いなあ、なんてつい思った。




「陽!陽食べたい!」




「はぁ!?」


これには困った。


前なら包丁パターンなのに、今はそうはいかないのだから。


どう食わせればいいのか、なんて戸惑ってると。




「ちゅー」




「…そっちか」


ニコニコと楽しそうに笑っていて、まあ仕方ないかと近寄る。


千晶も嬉しそうに近づいて。


ちゅ、と頬に唇を添えた。



「えっ…」



拍子抜けだったのか、残念そうにして。


「陽のケチー!普通食べたいとか言ったら唇でしょーがー!」


「まあ、朝だから」


「意味わかんない!」