不安はつきないけど、何はともあれ、腹が減っては戦はできぬ、だ。


古い言葉だけど、そんな言葉を思い出し、空腹で気持ち悪くなるくらいに空いたお腹をひとまずは満たそうと、出かける準備を始めた。


顔を洗って、バッグの中から短パンとTシャツを取り出し、手術着からそれに着替える。

最後に腕時計をつけて、部屋から出ると。


腕を組んで廊下の壁にもたれかかっているブレットさんと目が合った。



「目が覚めたのか。いくぞ」


「え?どこに?って、ちょっと。
......待って!」



いきなり、いくぞと言われても訳が分からず、呆然としている私を置いてさっさと歩きだしたブレットさんの後をあわてて追う。


階段を降りて、建物の外に出て、高い塀に囲まれている敷地内の門を暗証番号のようなものを押して開けるブレットさん。


昨日の夜は気づかなかったけど、こんな塀に囲まれてたんだ。

そして、一体どこに行くんだろう。