騒ぎがおさまるとすぐに、安静にしていてと、私は一人残される。

何かあったら呼んでね、とナースコールのボタンだけを置いて、何もない白い部屋にたったひとり。


こんな気持ちのまま、一人で気を紛らわせることもできず、あと四時間も天井だけを見つめつづけなければいけないなんて、ひどい。

できれば眠った方がいいと言われたけど、眠れるわけもないし......。


はぁ......。
月との戦い、宇宙人の侵略に加えて、内部のゴタゴタ、か。


御堂先生を信じるならもう病気は治ったのだろうけど、まだまだ私の明日は困難が待ち受けていそうだ。


単純に外部からの敵を倒せばいい、というだけでもない。

もう誰を信じていいのか、誰が敵か味方かも分からなくなる。


千明、ブレット、御堂先生......。
それから、リンレイ。


まだ会ったばかりの人たち、それからさっき聞いたばかりの名前を思い出す。

リンレイ、か。
何かひっかかる名前だと思えば、どこかで聞いたことがある名前なんだ。

ケニアにくるもっと前に。


外国人の知り合いはいないはずなのに、テレビかな?

リンレイ......、リンレイ......、
......だめだ、思い出せない。

フルネームが分かれば思い出せるかもしれないけど、リンレイだけじゃどうにもならない。