彼女はいつだって、誇り高く咲いていた。






……ドサッ。


彼女が投げ込まれるようにテントへ入れられたのは、閉店間近の夕暮れ時だった。


「……っ、なにするのよ…!」


豪華なドレスに身を包んだ少女は、見事なまでに美しい赤毛をしている。

少女は自分を連れてきた正装姿のふたりの男を、キッと睨みつけた。

テントの入り口に立つ彼らは、少女の言葉には耳を傾けず、こちらを向いた。


「…金は、いらない。引き取ってくれ」


黙って様子を伺っていた俺は、「…かしこまりました」とだけ返事をする。

冷たい声で放たれた男の言葉に、少女は目を見開いた。


「…な、なに言ってるのよ!私はクエイト様のものよ!?早くお邸に帰して!」


しかし男が次に放った一言が、少女を黙らせた。


「……クエイト様の、ご命令だ」


少女の瞳が、これ以上ないほど見開かれる。

「………え?」

小さなその呟きが聞こえると、男達はテントから出て行く。