新垣和人。
保健体育の先生。
入学した頃から、その存在は知っていた。
でも、接点がなく、別に興味もなかった。
人気がある先生だってことは知ってたし、追っかけてる子がいるってのも知ってた。
ふ~んって冷めた目で見ていただけの私。
教師に恋とか、バッカじゃない?って思ってた。
授業を抜け出して友達と廊下で話していた時、初めて新垣先生に怒ってもらった。
「こらぁ~!!授業中に何してんだ?」
って。
一緒にいた友達は、声をかけてもらえたことに興奮していた。
「あの先生だよね?人気ある先生。近くで見るとかっこいい~」
あの日、授業を抜け出さなかったら。
あの日、声をかけてもらわなかったら。
私は新垣先生に恋をすることもなかった。
こんなにドキドキすることもなかった。
辛い想いをすることもなかった。
でも・・・・・・
それじゃ、やっぱり寂しいね。
叶わぬ恋でも、やっぱり素敵な恋だった。
だから、好きになって良かったって思うことにする。