その日から、フランは俺の傷が完治した後も傍で寄り添うように共に暮らしている。


 そして、フランを人間の手から助けた俺の噂はいつの間にか広がり、人魚たちからは英雄と呼ばれるようになった。



 そのおかげで、人魚の世界を自由に行き来することができるようになり、今ではポセイドンと共に海を守る勢力のひとつだ。


 今までポセイドンの力が行き渡らなかったこの深海も俺の力で、以前ほどサメは頻繁に姿を現さなくなり、平和になった。





 俺自身、思いもよらないこの出来事に大いに驚いたが、フランと彼女はこうなることを知っていたかのように、頷き合っていた。


 どうやら彼女とフランはとても気が合うらしい。






「ね、ねね、ね。クライド、難破船を見つけたの! 行ってみようよ」



「…………わかった。支度するから待ってろ」


「やった、大好きクライド!!」

 ガバッ。

「うわっ」





「あらあら、ごちそうさま」





*Fin……*