そんな中、見ていて面白いから。

そして気になってしまうから、とよく見ていた俺の特技に、夏目をいつでも簡単に見つけられることが追加された。



そういうわけで今もいつものように見つけた彼女は……珍しい。

ひとりみたいだ。



ふらふらと彷徨って、あいつ本当危なっかしいな。

うっわ、人にぶつかられてね?



少し迷って、すぐに人の波をかきわける。



「夏目!」



肩をポンッと叩くと目を丸くした彼女が俺を見上げた。

ガラスみたいな澄んだ瞳の中にはなにやら相好を崩した俺が写っていて……恥ずかしいな、これ。



慌てて表情を引き締めても、まだぼーっとしている夏目。

声をかけながら、目の前で手をひらひらと振る。



はっ、としたと思ったらみるみるうちに祭りのオレンジ色の灯りでもわかるほど、頬が染まっていく。



とりあえず、人にぶつからないよう、邪魔にならないところにそっと誘導しながら「どうしたー」と尋ねた。