人間に害を加える妖怪がいる。


人の腕を血が出るほど深く噛み付く、持ち物に火を付ける、木に登り、傍を通る人間に向かって石を落とす。


幸い、大事には至らなかった。腕の怪我は一週間ほどで消え去り、火はすぐに消し、燃えた物はリュックの一部分、石はすぐ後ろに落ち、怪我はなかった。


だからといって、それが危険であるということに変わりはない。



というわけで、立宮神社の巫女、御巫依子(みかんなぎよりこ)はその妖怪達の元へ出向くことになった。


目的は、退治ではなく話し合い。そして彼女の目標達成である。