急に顔色を変えた尋暁に戸惑いを隠せないまま、響は後に続く。
尋暁は何度か家に遊びに来た事があり、有十とも顔見知りだ。
話が合うのか本の話をよくしていた。内容が難解なため、いつも遠巻きに響は二人を眺めてるだけだった。
沈黙。
尋暁が口を開く。
「あくまでもオレの予想……なんだけど。覚悟した方がいいかもしれないね」
話が見えてこない。
響が怪訝そうな顔をする。
「それ、どういう意味だよ?」
「そのままの意味……気のせいかもしれない、そう思いたい」
また尋暁は黙ってしまった。
ケータイ小説 野いちご
祠の鬼
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