爽やかな笑顔で三人の元へ向かった葉月は、更にニッコリと笑い、言い放つ。


「俺に出来ること!ひとつ、パスが回ってきたら誰よりも早く正確なシュートを放つこと!ふたつ、長く生きてる分、時たま無茶な戦略だと判断したら修正する!そして、みっつ……」


『何だと思う?』と言わんばかりに微笑む葉月に、三人も、自然と表情が柔らかくなる。


「みっつ、誰よりも早く、多く走ること。だから、俺は走るよ。例え足が千切れようと、ね」


葉月の決意表明は、冬なのに温かく、そして元気になるような、そんな声だった。


「さーて!揃ったところで練習よ!あ、ハーシーは早速走り込みね!すぐボールは触らせないわよおサボりさん!」


「うひゃあ、リッコ、手厳しー!」


眉毛を下げて笑う葉月の胸元には、キラリと銀色のロケットが輝いている。


「toi toi toi …… さ、頑張るぞぉ!」


彼女と共に、泥臭く駆け抜ける。そう決めた葉月は、幸せのおまじないを唱え、その足を一歩、大きく踏み込んだ。