恭也の背中、俺の方を見ずに手だけ振るその姿が今までで1番たくましく見えて。


 『またな』の言葉に、思わず笑った。


 次に会うときは、お互いどうなってるんだろうな。


 次に会うときには、俺の隣りにも守りたいって思える女がいるんだろうか。


 恭也が出て行った従業員出入り口のドアが閉まるのを見届け。


 そんなことを考えながら、店のシャッターを開けた午前9時。


 今日は、めちゃくちゃいい天気だ。


 何か良いことがありそうな、そんな予感がする。


 ……ちなみに、恭也から『亜希に連絡とってよし』とのメールが届いたのは、この日から2か月経ったあとのことで。


 どんだけ心狭いんだと思ったのは、ここだけの秘密だ。


 ついでに言うと、亜希と呼び捨てにしていることから、少しは俺に対する嫉妬も減ったんだと考えられる。


 意外に嫉妬深い恭也のこと、亜希なら優しく包んでくれるだろう。


 2人の幸せを、晴天の空に心から願った。


                       【end】