「みなみ先生、みなみ先生、ちょっとあの人どう思いますー?」

同期の明美(あけみ)先生に耳元で囁かれ、草むしりしていた手を止めた。



地元に帰ってきてすぐに私が就職したのは、百合園(ゆりぞの)保育園というカトリック系の保育所で、隣にある小さな教会に週に1回御祈りにしに行く以外は普通の保育所と変わらない。
園長先生は、隣の教会とも兼務されていて、シスター姿の美しいご婦人だ。

先生も園児も上品な雰囲気の中、一緒に入った新卒の明美先生だけは、今時の可愛らしい女の子。

パーマで、ちょっと明るく染めたブラウンの髪に、今は短く切られたけど、綺麗にネイルされていた爪先。
ぷっくり可愛い唇に、バッサバさの長い睫毛。

無邪気に子どもと遊ぶ姿は、主にご父兄に評判がいい。


「ほら、あの人、合コンに誘われたんですけど、どう思いますー?」

「ご?」

午後5時を過ぎると、保育所はお迎えのピークを迎える。