俺らは、授業が始まってるのも知らずに、何年ぶりの再会をした友達かのように、色々話したんだ。


「藤沢は何でこの街に?」

「先生に会いに」

「それって、墓参り?」

「うん。何度か目の前まで行こうとしたんだけど、なんだか行けなくて。この前も少し遠くから見てただけで……」


そういえば、藤沢は……兄貴の葬式には来てなかった。

来づらかったのか。

自分を責めてるくらいだ、行く資格がないとでも思っていたんだろうな、きっと。


「俺が連れてってやるよ。兄貴の墓に」

「え?で、でも……」

「大丈夫、きっと兄貴も会いたがってる」


俺は今度の土曜日、無理矢理約束を取り付けた。

それは藤沢のためでもあると思ったから。



「約束な」



藤沢は、少し困った顔で首を縦に下ろす。