……いつか、もしこの2人が本当の意味で結ばれる日がくるとしたら、その時は。


 あの時保健室で佐伯が言っていたことを一言一句すべて、宮下に教えてやろうと思う。


 その日が来ることを、願って。


 あいつがこれから笑顔でいることが増えることを、幸せを願って。


 俺は今日も、いつもと変わらない毎日を過ごすのだ。


 3年生になった宮下に、「もし結婚したら、必ず俺を招待しろよ?」なんて。


 付き合い始めたばかりで幸せ絶頂なそんな彼女に、バカみたいなことを言ったのは自覚してる。


 が、彼女は短い髪を揺らして、顔を真っ赤にしながらも深くうなずいたから。


 その時が来るのが今から楽しみで、佐伯がどんな顔をするのか想像すると思わずにやけた。


 “このたび、結婚式を挙げることになりました”


 そんな手紙が俺のもとに届くのは、そう遠くない未来だった。


                       【end】