―22xx年、日本からケニア行きの飛行機にて。

持ってきた小説を開いてはみたけれど、読む気にはなれず、それを閉じて、今までのことを思い出す。





一ヶ月前、大学に入学してもうすぐ半年といった時、交通事故にあって病院に行った。

事故の怪我は大したことがなく、それは良かったんだ、でも。


レントゲンに良くないものが写ったらしく、精密検査を受けた結果、両親と共に宣告を受けた。



「もって一年でしょう」



近年増加している、まだ解明されていないウイルスが原因の病気らしく、治療法が見つかっていない病気にかかっている、と。


感染経路は不明、抵抗力が弱い人がかかるのかと言われるとそうでもない。
つまり何もかもが、原因不明。


予防不可能、致死率100パーセント。
完治はもちろん、進行を止めることもできないので、ただ死を待つことしかできない。

余命半年を過ぎた頃から、徐々に体が弱っていき、ある日眠るように逝ってしまうんだって。


突然長くは生きられないとは言われても、なんだか信じられなかった。

今まで大きな病気もしたことがないし、今だって特に体の調子が悪いわけでもない。

なのに、いきなりそんなこと言われても......。


何かの間違いなんじゃないかと思って、他にも病院に行ってみたけど、結果は同じ。