「何、してるの?」




戸口からひょっこり顔を出したのはよりにもよって沖田さんだった。

あからさまに嫌な顔をした私を見て沖田さんは歩み寄ってくる。




「この子に内緒話?
僕にも教えてほしいなぁ」




私に差し出された手を見て少し状況を理解したのか沖田さんは隠すように間に入ってきた。




隊士達はたまらず気まずそうな顔をしてブツブツ話し合っている。




「き、気分が優れないとその女子が申した故、手を差し出したまで....

深い意味はない」




ああ、それでは隠し事をしていますと言っているようなものだ。

冗談じゃない。




私はまだ彼らの誘いに
「はい」とも「いいえ」とも言っていないというのに。




「沖田さんには関係のないことです」




こんな言い方はしたくないが
主人に何かあっては困る。

そう思って沖田さんを突き放した。




しばらく探るように見つめ合っていたが
沖田さんは面白くなさそうな顔をして「分かったよ」と言って去っていった。




「........」




妙にもの分かりが良いことに疑問を持った....が、ここは気にしないでおこう。




沖田さんの足音が遠くなれば
隊士達は私に詰め寄る。




「女子、あの沖田を言い含めるとは
中々のものだ!」

「我々の仲間になる決心がついたか」




鼻息荒く迫ってくる彼らに一歩後ずさる。

そこまでして私は欲しい人材なのだろうか、もし色仕掛けでもしろというのなら期待に応えられない自信がある。




それ以前に、言いたいことが一つあった。




「あなた方の意見に、
いつ私が賛同致しましたか?」




「何....?」




「私は、確かに芹沢さんをお慕いしていました....もちろん芹沢さんを手討ちにした者が憎いです


........だからといって!
人の命を奪ってまで
敵を討ちたいとは思わないのです」




「なっ、我らの誘いを断るというのか!!」




「あなたは、人を蘇らせることができるのでございますか?

人を産み落とすことが、活かすことが、できるのでございますか?」




「そのような事!できるわけなかろう!」




私の言葉が癪に障ったのか一人が怒声を上げる。見兼ねた多数が止めたが彼らもまた同じ目をしていた。