ケータイ小説 野いちご

リーフェの祝福 Ⅱ



「大丈夫だよ、きっと……」


 カルロと違い、大丈夫だと確信したように話すセシルが思い出していたのは、四年前のフィリエルが継承位争いの余波でユイに行けなくなった時の事。


 いつになっても会いに来ないフィリエルに、ユイの落ち込みようは酷いもので、それはセシルとカルロですら声を掛ける事を躊躇うほどだった。


 普段から乏しいユイの表情がさらに無くなり、家族には見せていた笑顔も全く見せなくなり、口数だけでなく食事に睡眠の量も減った。

 母のシェリナは離婚で環境が変わった事よる影響だと勘違いしていたが、明らかにフィリエルが原因だろうとセシルとカルロには分かっていた。


 予想外のユイの変化に、何度真実を話そうと思ったが、フィリエルが心配する理由も分かる上、本人が望まない以上勝手な判断で言うわけにもいかなかった。


 そんな日々が暫く続いたが、どうもユイは自身の中で折り合いを付けたようで、「次にフィリエルに会う時の為に、魔法を作ってフィリエルをびっくりさせようと思うの」。
 そう言って少し明るくなり、研究に精を出し始めたユイに安堵した。


 しかし、兄である自分達にすら心の内を話す事なく方向を見定めたユイに、寂しさと頼りにならない自身の不甲斐なさを感じたと同時に思ったのだ。


 ユイをそこまで悲しませたのがフィリエルなら、悲しみの淵から動き出す理由もまたフィリエルなのだなと。


 フィリエルに取ってユイが心の支えであるように、ユイに取ってもフィリエルはかけがえのない心の支えなのだ。


 ユイは誰よりもフィリエルを必要としている。




 だからきっと…………。





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