「…あ…。ゆあ…。おい!由吾!!」
「は、はい?」
俺が目を開けると、心配そうな皐月さんの顔のドアップが映った。

どうやら、 夢を見ていたようだ…。なんとなく、そんな気もしたけど。

「ビックリした。うなされてたから。」
「いえ、何でもないです。お、おはようございます。」

俺の言葉に、皐月さんは苛立ったのか眉間にシワを寄せた。
「な、何か?」
「今度、そんな喋り方したら…。」
皐月さんは、俺の首もとに顔を近づけて…チュッと音を立てた。

ビクッ!!
あ、また…。思い出したくないことが…。頭に浮かぶ。

俺はとっさに、皐月さんを引き剥がしていた。
「チッ!!」
ヒッ…俺は、恐る恐る舌打ちの方を向くと…鬼の形相の皐月さんがいた。
「ご、ごめんなさい!!」
…。
「お前、さっきいったこと…忘れちまったのか?」
「え?…あ。」
俺は、後退りをしようと腕に力をいれた…けど、体が固まって動けない!!

すると、皐月さんはニヤリと口角をあげてまた首もとに顔を近づけた。
や、やられる!!!!

「…フッ、体震えてる。」
…あれ?
皐月さんは、顔を戻すと、優しく頭を撫でた。
「そんなに…怖くなっちまったか?」

あぁ…。ダメだ。このままこの人に心なんか開いたら…また、傷つけられるだけ…。