「だ、れ、が!こんなキモいのの彼女よ!あーもーマジ無理キモい。私の視界に入らないで!」


「酷いなぁ。お兄ちゃん、こんなにリッコのことを愛しているのに」


わざとらしく泣きっ面をするイケメンゴジラに、今度は俺がしかめっ面を向ける番。


「に、い、ちゃ、ん!?」


「うん。俺、本名皇逸人(すめらぎ いつと)と申しまして。昼間はスポーツショップで店長やってます、25歳独身宜しく!イツでいーよ」


……確かに、言われてみればイケメンゴジラとリッコ、全体的な顔の造りそっくりかもしれない。


「俺達オルフェの弟分名乗るんだから、お前さん達には上がって貰うよ。こっちの土俵まで、ね」


コンコン、とイケメンゴジラ……イツがノックした壁に貼られたフライヤー。


ほうほう成る程。遠く、ロマンティックな雲と同じところに広がっていると思っていた夢の風景は、実はわりと近いところにあるらしい。