ケータイ小説 野いちご

【完】籠球ロマンティック




植物状態で目覚めなかった場合、長くても五年で生涯を終えるというのが医学的な平均数値だという。


だが、女は確かに生きている。命を保っているだから、葉月は次の日何事も無かったかのように、女が目を覚ますと信じてやまない。


毎日通い続けては、返事のない女に語りかける。たまに、目を開いたり手を握り返す女に一喜一憂しながら、語りかける。


「フーケーツ、フーケーツ」


「ちょいちょいストーップ!不潔コール止めなさい」


何も知らない律子に冗談半分の変なコールをされても、葉月は決して怒らない。


葉月にとっては、普通の恋人達が毎日語らう日常と、何ら変わらない日常なのだから。


『走れよ、バーカ』と最後に笑った女の顔をまた見れる日を、葉月はただただ待ち望んで生きている。


金石、君が望むように、俺はがむしゃらに走り続けているよ。


葉月の発言にキャイキャイ話す三人を他所目に、葉月は手に持つ麦茶に口を付けた。

< 56/ 388 >