一命はとりとめたものの、金石は所謂『植物状態』となってしまった。


明日目覚めるかもしれない。逆に、永遠に目覚めることが無いかもしれない。


娘がそんな状態になった金石夫妻は、やり場のない怒りの矛先を葉月へと向けた。


恨まれ、面会拒絶され、それでも葉月は毎日毎日、金石が眠る病院へ足を運んだ。


雨の日でも、雪の日でも、自らが風邪を引いた日でも、必ず、その足で病院へ通い続けた。


そんな葉月に、先に折れたのは金石の父親だった。


母親は納得の行かない顔をしながらも父親に従って、渋々葉月と金石の面会を許す形になる。


葉月が金石と再会したのは、彼女が眠りに就いて、五ヶ月の月日が経った春の日だった。