と、聞くと同時に後ろから優しく抱きしめられる。


突然のことで、一瞬心臓が止まるかと思った。


蒼太の腕があたしのお腹のあたりで組まれ、その距離、0センチ。


「陽子、いい匂い」


そう言い、あたしの首筋に顔をうずめる蒼太。


その感覚がくすぐったくて、あたしは思わず首をすぼめた。


これはいわゆる、イチャイチャというやつだろうか?


そんな経験は1度もないあたし。


とにかく心臓がドクドクと早くなり、顔がほてって火が出るように熱い。


人形相手になにをしているんだと思われそうだけれど、これほどまでリアルにできた人形相手なんだから、仕方がない。


「あ、あの……離して?」


あたしはどうしていいかわからずに、おずおずとそう言った。