「クラァス姫・・・」
困惑した呟きが
その美しく整った唇から毀(こぼ)れる。
私の名呼んだ彼の心は
『困惑』していた。
この困惑は突然ベッドに現れた
私に対する驚きだろう
「王子・・・私は嬉しいです。
 私を選んでくれて・・・」
このような日の為に、
磨き上げてきた身体
褐色の体は引き締まり
肌も絹のようにきめ細かく
薔薇の花びらを散らせた湯を浴びて
丁寧にブラッシングした銀の髪は・・・
いま月明かりに幻想的に
輝いているはず
父から受け継いだ赤い瞳は
熱を帯び・・・

間違いない!
今夜私は彼のもの!だわ!!!