小学生に入るとあたしは更に敏感な子供になり、ちょっとした変化が起こる前でも頻繁に心が揺らいだ。


せわしなく周囲を見回し、不安と恐れが胸の内を支配する。


そんな時、きまってクラスメイトの誰かが熱を出して休んだり、怪我をして救急車で運ばれるような事態が起きていた。


大人になるにつれてその感覚は徐々に薄れちょっとしたことでは感じなくなっていたけれど、今回はどうも無視できそうにない。


「陽子、早く!」


あたしがいつまでも時間をかけて帰る準備をしているので、ついに実紗が手を伸ばし、あたしの鞄に教科書を詰め込んだ。


「ほら、行くよ!!」


実紗によって強引に席を立たされて、渋々歩き出すあたし。


「ねぇ、本当に人造人間を見に行くつもりなの?」


「人造人間じゃなくて人形だって有里言ってたじゃない。それに、少しならいいよって承諾したのは陽子でしょ」


「それは……そうだけど……」