出るかどうか迷っている間も、いっこうに止む気配はない。
諦めて電話に出る。
「……なんだよ」
『遅い』
「一分や二分でうるさい奴だな。で、何の用だよ?」
『今、古書店の前にいる。だから開けてよ』
「ったく、何でいるんだよ……わかった、今開けるから」
『うん』
仕方なくベッドから体を起こし、鍵を開けに一階に下りる。まるで、外の世界と隔てるように施錠された扉。
一瞬躊躇ったものの、鍵を外し扉を開ければ、いつもと変わらない尋暁が立っていた。
ケータイ小説 野いちご
祠の鬼
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